測定器 R3361A

2017/01/21

スペアナR3361Aの電源が入らない!

虎の子のスペアナが壊れた。最近は自作もちょっとお休み状態だが、久しぶりに使おうと思ったところ、壊れてしまった。

Dscf0033
(修理を終えて、エージング中だ)

修理記録は、以下の通り。

【症状】
使用中にリセットがかかり、初期画面から再起動された。その後、電源が断となりすべての表示が消えた。しばらくたって、再度電源を入れるが、電源が入らず。
【調査】
前回、交換をしなかった電解コンデンサーの液漏れを見る。
C13、C26に液漏れがあり。
【修理】
液漏れしているコンデンサーをはずして、液が付いている周辺をティッシュペーパーにアセトンを含ませて良くふき取る。アルコールでもいいと思う。
コンデンサーが付いていたスルーホールの断線が無いことを確認して、コンデンサーを新しいものに取り換える。周辺の部品・パターンに腐食が無いことも確認しておく。

予防交換を含め、以下を交換する。(→は実際に実装した部品)
C13 220uF 50V(液漏れあり)
C26 47uF 63V(液漏れあり)径8.1 高さ12→47uF 100V
C33 47uF 63V(液漏れなし)径8.1 高さ12→47uF 100V
C14,20,22,27,34 1uF 100V 径5 高さ10
C18 4.7uF 100V→4.7uF 50V
(買い忘れたので、手持品を使用。耐圧が足りないが、低電圧の回路?であろうから、たぶん大丈夫)
C12 10uF 100V 径6.5 高さ12
C25,32 330uF 50V 径10 高さ30→85℃一般品

以前にも電解コンデンサーを交換している(以下、2010/2/11)==============
R3361Aの電源ユニットを見る
http://honda.way-nifty.com/pocky/2011/02/r3361a-6e73.html

出力のコネクターの後ろに並ぶのが、各系統の電解コンデンサーである。手前から順に、
C35 470uF 25V ニチコン製PF 直径10 高さ20 →交換後 390uF 35V
C28 680uF 25V ニチコン製PF 直径10 高さ30 →交換後 390uF 35V
C42 3300uF 10V ニチコン製PF 直径13 高さ34 →交換後 4700uF 15V
C39 470uF 25V ニチコン製PF 直径10 高さ20 →交換後 470uF 35V
C38 470uF 10V ニチコン製PF 直径8 高さ15 →交換後 470uF 10V

放熱板の手前側、
C32 330uF 50V ニチコン製PF 直径10 高さ30 →取外確認、液漏れなし
C33 47uF 63V ニチコン製VT 直径8 高さ12→取外確認、液漏れなし

放熱板の奥側、
C25 330uF 50V ニチコン製PF 直径10 高さ30→取外確認、液漏れなし
C?? 47uF 63V? ニチコン製VT 直径8 高さ12
============================================================
温度で焼けて、表示が見えなくなった電力用抵抗の実測値
R39 180オーム(実測:175オーム)
R48 220オーム(実測:219オーム)

Dscf0001
液漏れのあった、C13を交換したところ。交換したコンデンサーは千石で手に入れた、一般品。本来なら105℃品の低ESRの物を使いたいところだが、アマチュアが年に数回使う程度であれば寿命も問題ないだろう。こっち?の寿命の方が先に来るだろう。
基板の周りはよく洗浄しておくのが重要。周辺の基板や部品が漏れた液でダメージを食らうこともある。この当たりも確認しておく。

Dscf0005
小さいコンデンサーも交換しておく。メインの電解コンデンサーは未交換だ。こいつも、そのうち液漏れるるかもしれない。

Dscf0008_li
写真の上の赤矢印が液漏れを起こしていた。これも、きれいに洗浄しておく。交換した電解コンデンサーは63V品が手に入らなかったために100V品を使っている。そのため、径が大きくなり窮屈だ。どうも、この電源は標準よりの高めの耐圧の物を使っている。確か昔覚えたことだが、電解コンデンサーは耐圧に余裕をとっても故障率の向上には寄与しなかったように記憶している。そこそこの、耐圧余裕があればいいはずだが。耐圧に余裕を持っておくといいことがあるのだろうか。

また、黄色矢印のコンデンサーは、オリジナルは背が高いものを使っている。この辺りは電源用のものを使いたいところだが、手に入らない。まあ、前述の通りで問題ないだろう。

Dscf0010
制御回路周りの小さな電解コンデンサーも交換しておく。多分、この辺りは液漏れしないと思うのだが、予防交換だ。このコンデンサーも100Vと耐圧が高い。2次側だから、こんなに要らないと思うのだが。

Dscf0012
さて、交換・洗浄を終えて、単体で確認を行う。この電源は200V系でも使えるように、100V時は倍電圧整流を、200V時はブリッジ整流となるように入力の接続を切り替えている。100Vを入れるので、この通り端子をショートしておく。

Dscf0014
出力側は電子負荷を接続する。この電源は多系統の出力を持っているが、メインは+5V系のようで、こいつにある程度負荷を掛けないと、他の電圧系統の出力が正常にならない。これは、スイッチング電源の特徴で出力0Aから最大負荷の変動に弱い。通常はブリーダー抵抗を咬ませたり、CPU制御系など最低負荷電流の条件でクリアしているケースがほとんどだ。余談だが、ドロッパー電源は、電圧変動に弱い。入力電圧変動を±20%でも動作する電源を作ろうと思うと、120Vでも耐えうる大きな放熱器を付けないといけない。熱が馬鹿にならず、電圧変動には苦手だ。スイッチング電源と真逆で面白い。

Dscf0018
こんな感じで5V系に電子負荷をかけて、各系統が正常に出力するかを確認しておく。

R3361a_pin
入出力端子の備忘録だ。+3Vと記載した端子は、出力ではなく制御線ではないかと思う。フィードバックのフォトカプラにつながっているようで、過大電圧?等の出力遮断か何かだろうか、よくわからない。

Dscf0025_1

Dscf0021_1
ちょっと暗い写真だが、修理を終えて、組み込んだところだ。

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このスペアナが製造されたのが、1980年後半から1990年ごろ。ヤフオクで手に入れたのが2009年3月。RFが壊れていたものを何とか修理して使い始める。何度かRF系が壊れて修理しながら使った。
2011年2月に液漏れした電解コンデンサーを予防交換。2013年4月には液漏れによりコネクターが腐食して故障。そして、今回2017年1月、液漏れにより電源断の故障。メインの電解コンデンサー以外は全て交換したことになる。製造から30年近く立つので仕方がないが、ジャン測なのでいつ壊れても不思議ではない。電源を入れるたびドキドキして仕方がない。

-・・・-
備忘録
メモリーバックアップ用の電池
ニッカド3セル 3.6V150mA GB150-3F (GS製)
端子電圧を測ると2.8V程度、かなりヘタっているが、ギリギリSRAMを保持できている模様。リチウム電池かと思ったら2次電池が使用されていた。こいつも交換しないとダメそうだ。交換時にメモリー内容が消えてしまうかなぁ、メモリーに電源を供給しながら交換しないとダメかも。

-・・・-
過去の記録
R3361Aの電源ユニットを見る

スペアナR3361Aの周波数安定度(解決!) その3

修理記録(まとめ) ←ちょっと、わかりにくいが
スペクトラムアナライザーR3361A修理記録

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測定器 R3361A


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2013/04/29

スペアナR3361Aの周波数安定度(解決!) その4

R3361AスペアナのRFフロント部分の写真を紹介しよう。
今回の周波数が不安定な事象は、電源(-15V)が原因だった。これがわかるまで、各ローカル発振器を疑った。
まずは以前経験した200MHzのVCXOだ。

R3361_circut_layout
「R3361_CIRCUT_LAYOUT.JPG」をダウンロード


次に疑ったのが、2nd Local 3.84GHz。写真の①だ。セラミック?の共振体でシールドケース(カバー)側に円盤がついていて、ネジで周波数を調整する。それを③(P10)でロック状態を確認する。
Dscf0061_1

1st Local 40MHz VCO。④380MHz?を1/10して40MHz?を作っている。Sweep用だろうか。
Dscf0073_1

1st Local 400MHzのPLL。⑥
Dscf0074_1

1st Local 40MHzのPLL。⑦
Dscf0071_1

1st Local 400MHzのVCOが⑧。これで、YTO(YIG)で4~7.6GHzをロックさせる。
Dscf0072_1


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もう一つ。別のブロックだがYTO(YIG)の周波数を調整するボリュームR26。VRを5度?も回すとPLLのロックが外れてしまう。むやみに回すことができない。

Dscf0066

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2013/04/27

スペアナR3361Aの周波数安定度(解決!) その3

電解コンデンサーの液漏れは、想像以上にたちが悪い。
このページ「電解コンデンサーの寿命と液漏れ」に詳しく書いてある。また、電解液を作っているメーカのページでもこんなことが書かれている。

1
(三洋化成の資料から抜粋)

2
(三洋化成の資料から抜粋)

これを見ると、電気分解により、強アルカリの液体になっていくことがわかる。これでは、銅でできている、ピンヘッダーやパターンはひとたまりもない。90年台の機器はみんなこれにやられているのだろう。この時期のジャン測はみんな同じかもしれない。早めの、予防交換が必要だ。

三洋化成の資料は、こちら


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さて、これで正常に波形が出るようになったのだが、まだ、なにかおかしい。

以前のブログの波形となにか違う。(これは、「スペアナR3361Aの周波数安定度(解決!)」の波形)
Dscf0312

すそのが広がってノイズっぽい。CNが悪化したようにみえる。(写真を撮り忘れました・・・・)

なんだろうか???

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1週間ほどおいて、ハタと気がついた。そう言えば、VRを回して電圧を調整しようと思ったが、-15V系だけ電圧が追い込めなかった。(-15.84V)だいたい合っているから、まあ、いいかと思ったのだが、実は電圧制御(サーボ系)がかかっていないのではないかと。もう一度、電源をばらしてみた。

Dscf0090

Dscf0091

Dscf0092

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パターン切れを疑って見てみると、C35のマイナス側のスルーホールの導通がない。この導通がないと、電圧検出の抵抗がopen状態となってしまう。この結果、電圧制御が効いていなかった。これで、-15V系がノイジーになっていたのだろう。オシロで見る限りでは判別が難しい。

この辺りを、エチルアルコールでじゃぶじゃぶと洗った。水が良いとも思ったのだが、残ると嫌だったので、アルコールにした。漏れた電解液を流してしまわないと、再発するからだ。小さなトレイで受けて、タップリとアルコールをつけて行水のように、歯ブラシでゴシゴシと洗った。

ピンヘッダーも毛細管現象で液を吸い込んだに違いない。スルーホールもかなりやられている。
-15Vだけがやられているのも、三洋化成の資料を見るとうなづける。負側が強アルカリ性になるからだ。以前、このブログにコメントをいただいた方も-15Vがやられていた。このスペアナの共通不良であろう。

Dscf0097

Dscf0094

これで、VRを回すことで-15Vの電圧を調整することができるようになった。
スペアナの安定度も、これで戻った。
Dscf0104

安定度は、これ。
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とりあえず、おしまい。

つづきは、修理過程で分解した時の様子を紹介する。

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2013/04/25

スペアナR3361Aの周波数安定度(解決!) その2

またまた、周波数がふらつき出した。DDSの特性を見ようとしてスペアナに電源を入れた。前回の修理から既に3年が過ぎている。以前経験した、200MHzのVXCOがズレた、と踏んだが、意外にも別の原因だった。

まずは、事象から。例によって、センター周波数を0Hzにセットして、スパンをどんどん縮めてみる。
こんなにひどいことになっていた。PLLが完全に外れている状態だ。
Dscf0060

上の状態で、これにmaxホールドをかけてしばらく置いておくと、周波数がポンポンと踊っている。
Dscf0059

最初に疑ったのが、200MHzのVXCO。TP3で-3V±1Vが設定値だが、ずれていたもののPLLが外れるところまでは行っていなかった。

次に疑ったのが2nd MixのOSC。ここに3.84GHzの発振器とPLLがある。位相比較器の出力を見ても、ロックが外れているようには思えない。

最後に1st MixのOSC。YTOという特殊な発振器でできている。これも同様に位相比較器の出力を見ても、ロックが外れているようには見えない。R26なる可変抵抗器で直流バイアスを変化させることで、フリーラン時の周波数を調整することができる。
このあたりの高周波周りは後ほど写真で紹介しよう。

故障の結論は、電源であった。以前、予防修理をしたメイン電源である。何とケミコンの電解液漏れの後遺症が出たのだ。

PLL周りでは無さそうなので、ハタと困った。基本である電源ラインをもう一度見てみた。
テスターでの測定結果は、
 +5V→5.20V
 +15V→15.52V
 -15V→18.84V
 +12V→11.87V
見た目では問題無さそうがだ、オシロで観測してみると、-15V系がおかしい。1Vぐらいスパイク的に電圧降下が発生している。負荷変動が制御しきれず、安定化がなされていないような波形だ。
電源を外したりしているうちに、-15V系が出力されなくなってしまった。順に追っかけて行っても、電源基板では-15Vが出ているのに、マザーボード側に電圧が出てこなくなってしまった。
(ちなみに、この状態ではCRTモニターも平常には表示されず、アナログテレビの入力がなくなった時のような、砂嵐状態になってしまう)

なぜ????、である。

結果は、これであった。あり得ないことが起きている。
Dscf0079

Dscf0080
何と、コネクターのピンヘッダーが折れている。

まずは、これを修理する。秋葉原に行けば、同じようなピンが手に入るかもしれないが、手持ちがない。FANのコネクターが同じピンであったので、これを使うことにした。FANは大した電流でもないので、適当なコネクターに変えることにした。
Dscf0081

Dscf0083

Dscf0084

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これで、ケーブルは治った。さらに、ピンヘッダー側を見ると、これも怪しい。
Dscf0078

Dscf0077
ピンヘッダーのハンダ付けがイモ状態になっている。接触が怪しい。半田ののりが悪かったが、フラックスを塗り、60Wのデカゴテでなんとかハンダ付けをやり直した。

これで、安定して-15Vが出るようになった。

ここに至るまで、チョークトランス(+5V系の部品)を外して、基板の様子を観察した。トランスのリード線切れ、パターン切れには至っていないものの、スルーホールのランドが腐食している。
Dscf0075

Dscf0076

まだまだ、解決していない、つづく・・・・・


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2012/03/03

R3361ANの50Ω化のヒント

R3361ANは入力が75Ωの製品だ。製品名の最後の"N"がそれを表す。TVなどビデオ信号は75Ωが利用されている。
このブログをご覧の方が、このスペアナを50Ωとして使うために、外付けの抵抗PADで整合して使うと話していた。
そこで、50Ω系の製品と75Ω製品の差異を調べてみた。

以下、私が実際に見たわけではないし、想像で書いている部分があるので、仮に改造される場合でも、自己責任でお願いしたい。

また、改造をされた方がいらっしゃったら、是非コメントをお寄せください。

===========

その後、50Ω対応について、色々調べてみたところ、R3361A/R3361AN(50/75Ω)の差異は、入力に直列に25Ωの抵抗が挿入してあるだけのようです。

具体的にはスペアナ入力のコネクターの直後に51Ωが2個並列接続で入力ラインにシリーズ(直列)に入っています。この抵抗の後段にDCカットのセラミックコンデンサー(並列の2個)があります。

同様にTG側にも、直列に25Ωの抵抗がNコネクターの直後にあります。
スペアナ本体の内部は全て50Ωで構成されており、この入出力に抵抗を付加して、75Ωに整合を取っているようです。また、Nコネクターも75Ω対応だと想定されますが、このままでも影響は僅少かと想像します。

一方、この抵抗を外すことで、レベルが変化してしまいますが、理論計算では約2dBの誤差が生じます。
多分、ゲイン調整をすることで吸収できると思いますが、具体的な方法がわかりません。

以上、実物を見たわけではなく、想定で書いていることをご理解ください。
また、仮に改造される場合も、自己責任の範囲でお願いします

===========
ゴチャゴチャ計算したが、要はインピーダンスの差が誤差として表示されます。
10log(50/75)=-1.76dB

R3361an2


【おまけ】
同軸ケーブルは何故50Ωまたは75Ωなのか?
昔、授業の講義で、75Ωにすると電送損失が最小になるため、この値が決められたと聞いた気がする。その時は数式を駆使して導き出した。それを今できるわけもなく、いつものgoogle先生に聞いてみた。さすがインターネット。数式で導き出しているのが掲載されていた。

同軸ケーブルのインピーダンス

同じく大昔の大学の頃、50でも75Ωでもない同軸ケーブルを見たことがある。今と同じポリエチレンの絶縁体だが、全部が充填されておらず、一定間隔でポリエチレンのセパレータが入れてあった。それ以外は、多分空気が入っていたのだろう。窒素などのガスでは無いと思う。太さは、10D2Vぐらいで、そんなに太くなかった様な気がする。当時は正確には分からなかったが、50Ωでも75Ωでもなく,60Ω?ぐらいと言われていたが、定かではない。
これも、google先生に聞けば分かるかも知れない。

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2012/01/22

スペクトラムアナライザーR3361A修理記録

これまで、このブログに記載した「スペクトラムアナライザーR3361A修理記録」をホームページにまとめてみました。
内容はブログの物とほぼ同じですが、ブログを辿るのは大変であろうことと、関連するリンク集を付けました。
今後も順次整理していきます。
自分のメモと、同様の事象に遭遇されている方のお役に少しでも立てればと思います。

「スペクトラムアナライザーR3361A修理記録」こちらから

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2011/02/26

R3361AのTG故障~いつもの故障~

Qメータで色んなコイルを測っているときにまたおかしくなった。
TGの低域が出なくなる、いつもの故障だ。
早速分解して、LPFのところをテスターで確認すると、無限大であった。テスターリードでちょっと押してやると、それ以降はゼロオームになってしまった。
このLPFとの半田付けがうまくいかない。
今回はΦ0.4銅線を入れてLPF側との接触面積を多く取ることにした。

Cimg1336_v
不良箇所はパワーアンプの出力側の接続。

これで完了。おしまい!

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2011/02/11

R3361Aの電源ユニットを見る

色々な方の情報によると、このスペアナも20年選手になり、電源の故障が目立つようだ。横山さんの情報を基に、電解コンデンサーの予防交換を行ってみた。

以下はその開腹?状況だ。
Dscf0487
サーコン(絶縁ゴム)の下にアルミ板があり、その下に、シリコングリスが塗られていた。ここに、銘板があった。
Dscf0488

この電源は富士電機製でPTA465-00という型番らしい。スペックもこれでわかる。負荷電流は0Aは範囲外になっている。
製造年月日は1989年7月である。スペアナ本体もほぼ同時期と考えると、やはり20年選手ということになる。

同じような、写真が並ぶが、
Dscf0489


Dscf0490

次に2次側(出力側)から見た写真である。手前に見える酸金抵抗2W?が、焼けている。表示飛んでしまって、定格がわからない。あとで、通電してみると、結構熱くなる。出力側にあるので、ダミー抵抗かもしれない。
記録として記すが、R39 170Ω R48 212Ω。いずれも回路に実装したまま、デジタルテスターで測定した値である。この抵抗が、出力のケーブルにタッチするような設計になっているのが、気になる。

出力のコネクターの後ろに並ぶのが、各系統の電解コンデンサーである。手前から順に、
C35 470uF 25V ニチコン製PF 直径10 高さ20 →交換後 390uF 35V
C28 680uF 25V ニチコン製PF 直径10 高さ30 →交換後 390uF 35V
C42 3300uF 10V ニチコン製PF 直径13 高さ34 →交換後 4700uF 15V
C39 470uF 25V ニチコン製PF 直径10 高さ20 →交換後 470uF 35V
C38 470uF 10V ニチコン製PF 直径8 高さ15 →交換後 470uF 10V

放熱板の手前側、
C32 330uF 50V ニチコン製PF 直径10 高さ30 →取外確認、液漏れなし
C33 47uF 63V ニチコン製VT 直径8 高さ12→取外確認、液漏れなし

放熱板の奥側、
C25 330uF 50V ニチコン製PF 直径10 高さ30→取外確認、液漏れなし
C?? 47uF 63V? ニチコン製VT 直径8 高さ12

Dscf0491
この写真のD12のリード線が腐食している。コンデンサーの液漏れによる。
液漏れしていたのは、C28とC39。液漏れの量は僅かであった。取り外した、他のコンデンサーは一応大丈夫であった。
これ以外にも、放熱板の下にある、
C13 220uF 50V ニチコン製PF 直径10 高さ15→取外確認、液漏れなし
も、外観からは問題なし、であった。

ちなみに「381」、「480」と刻印されているトランスは、フォワードコンバータのチョークコイルのようだ。

Dscf0492
こいつが、液漏れしていた。
パターンを追っかけなかったが、電圧からすると、+15V、-15V、+12Vのどれかであろう。
Dscf0493

コンデンサーの取り外し/取り付けには、60Wの巨大?ごてが必要であった。パターンがベタアースにしてあるので、特に部品面がベタだと熱が逃げてしまいうまくいかない。大き目のこてが必要だ。

Dscf0494

裏面を見てみた。右上の焦げているところがR39,R48の部分になる。体積の大きな抵抗に変えれば若干温度を下げることができるかもしれないが、抵抗の上は出力ケーブルが通るスペースのため、大きな抵抗だと当たってしまうかもしれない。このままにしてある。

予防交換後の様子である。手持ちのコンデンサーをつけたので、必ずしも同一の容量にはならなかった。
多分大丈夫だと思っているが。
Dscf0495

Dscf0496

電源の全景である。
Dscf0497
1次側の電解コンデンサー(倍電圧整流)は、大丈夫だろうと踏んで、確認していない。

Dscf0498


最後に組み戻したところだ。例の熱くなる抵抗が出力のケーブル付近にある。ケーブルに黒い煤が着いていた。

とりあえず、おしまい。

【2011.2.12追記】回路図(想像図)を付け加えました。部品およびレイアウトを見て、メモ書きとして残しておきます。
R3361apta46500


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2011/01/19

R3361電源故障のお問い合わせ

横山さん、ブログご覧いただきありがとうございます。
IFTのところにコメントされていたので、別にわけました)

 

電源はモジュール(部品)扱いのようで、単体の回路図をもっていません。ネットでもなかなか、見つからないかもしれません。「FDK」という記載があったので、富士電機製かもしれませんが、カスタム品だと情報は難しいかと思います。電源とFANは消耗品のようです。

 

客観的な情報ではありませんが、私の私見(一般論)ですが、コメントいたします。何か解決のきっかけになれば幸いです。

 

まず、電源の故障か、負荷側の故障かどちらでしょうか。負荷が重くて電圧が下がっているケースもあります。

 

電源側の故障だとすると、現物を見ないと中々コメントできませんが、経験から言うとケミコンが怪しいです。消耗品です。外見で膨らみや液漏れ変形など判断がつく場合があります。SW電源はケミコンに電流を流すので、発熱します。容量Cではなく、電流容量で何個並列にするかを決めることもあります。タンタルコンは使っていないと思いますがショートモードでの故障が多いです。

 

故障箇所がわからない場合に、片っ端からコンデンサーを交換してみるのも手です。半導体は中々壊れません。半田付けかコンデンサー当たりではないでしょうか。

 

この電源はマルチ出力なので、主回路にフィードバックを掛けて安定化しています。これが、正常に動作しないと他の系統の電源も正常に出力されません。この当たりも、ヒントかもしれません。

 

既にご覧になったかもしれませんが、別の方にコメントしたのがありますので以下を参考にしてください。

 

http://honda.way-nifty.com/pocky/2009/03/post-13df.html

 

また、横山さんの状況も教えていただけますか。多くの方の修理状況が集まったら、整理をして公開したら、多くのR3361ユーザに役に立つと思います、是非、よろしくお願いいたします。

何かありましたら、ここにコメントをいただけますか、仕事が忙しく対応が遅くなるかもしれませんが、可能な範囲内でコメントします。

 

【2024/9/24追記】TG部出力回路==============

回路の一部を掲載します。

1727181363313

 

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2010/05/23

スペアナR3361Aの周波数安定度(解決!)

多くの方に情報をいただいた。本当に感謝、感謝!である。

以下、私が確認した手順である。(詳細、過程は端折ってありますが・・)
1.チェックポイント
 1)TCXOの切り替えSW
  背面にある、外部からの基準信号を切り替えるSWがある。外部入力にしておくと、内部のTCXOの電源が切れてしまうので、そもそも動作しなくなるので、間違うことはないかもしてないが、まずは確認である。
 2)電源電圧
 内部には+5V、+15V、-15V、そしてCRT用に+12Vがある。上カバーをはずして、IFユニット(大きなPCB)でマザーボードと接続されている3列のコネクターにシルク印刷があるので、そこで確認ができる。+12Vはここには来ていないのでチェックできない。
結果は、+5V:+5.28V、+15V:+15.15V、-15V:-14.65Vであった。
(規格値は5.2V±3%、他は±5%)
-15Vがちょっと低いが、規格内ではある。いただいた情報ではSW電源の-15VのSW電源の出力ケミコンの不良で周波数安定が悪くなるケースがあるらしい。
 3)10MHzの基準信号出力
   TCXO(10MHz)から、PLLの基板に接続されている点に「P9」というチェックポイントがある。その振幅が0-Pで3Vp-p以上あればよい。実測で3.7Vp-p。
 4)200MHzPLLの動作
   このスペアナの基本のPLLである。他にもYIGのGHz帯のPLLなどあるが、この、200MHzのPLLが全ての基準になっている。TCXO(10MHz)と水晶(VCXO)の200MHzで発振した信号を1/20して、位相比較している。
「TP1」10MHz側、「TP2」200MHzの1/20側で位相比較器の入力になる。
位相比較回路は、74S112の2個のFFと74S00の1個のNANDゲートで出来ている。(U5、U7)。
この位相差をチャージポンプ(Q21~Q24)で約±13V変化させることができる。直流出力は「TP3」で、正常値は-3V±1Vである。

今回は、ここがおかしかった。(中央が0Vである。1目盛りは5V/div)
Dscf0308

+13Vの上限に張り付き、バタバタしている。プラスの電源をVCXOのバリキャップに供給しても所定の周波数(200.000MHz)にならないため、結果として周波数がふらついていた。

これが、VCXOの周辺だ。これがこのスペアナの心臓部になる。全てのOSCはこの200MHzが基準になっている。
Dscf0314

水晶振動子とC22(6pFのトリマー)、L13、D2(バリキャップ1SV111)で回路を構成している。トランジスタ類は反対側にある(らしい、見るためには相当分解しないと基板裏面を見ることはできない)。
このトリマーがずれていた。シールドケースを開けるとPLLロックがかかっていなかったので、周波数が飛んでしまう。ロックがかかっていればこんなことはない。トリマーを回して「TP3」の電圧を-3V±1Vに調整する。
かなりクリティカルである。-4Vになったのでそれ以上追い込まなかった。収斂するまで数分はロックが外れないことを確認する必要がある。かなり大きくドリフトする。電圧の上限下限付近までスイングする。

ロックが外れている場合。(今回の故障?不具合)
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CF=0MHz、Fスパン=10KHz


ロックした場合。(トリマー調整後)
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VCXOの下側が200MHzの位相比較器になる。TP3に緑色の線を付けてケースを閉めた状態でトリマーを調整した。
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調整ドライバーは竹串を削った。シールドケースの上に乗っている。
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周波数安定度を測ってみた。
まずは、単発のスイープ。
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次にMaxHoldをかけてしばらく置いてみた。周波数のふらつきから、毎回違うところに輝線が出来て、その結果、帯状になる。このときのブレ幅は約200Hz。規格では300Hz以内であるからまずまずこんなものである。
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とりあえず、治った。結果はトリマーがホンのわずか、ずれていた。20年選手の測定器だから致し方ない、そんなものだろう。調整してどこまで性能が戻るか、である。
私にとっては十分すぎる測定器ではあるが、信頼性を求めるならば、この機械はやっぱり「ジャン測」である。

多くの皆さん、本当に多くの情報提供をいただき、ありがとうございました!


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