スペアナR3361Aの電源が入らない!
虎の子のスペアナが壊れた。最近は自作もちょっとお休み状態だが、久しぶりに使おうと思ったところ、壊れてしまった。
修理記録は、以下の通り。
【症状】
使用中にリセットがかかり、初期画面から再起動された。その後、電源が断となりすべての表示が消えた。しばらくたって、再度電源を入れるが、電源が入らず。
【調査】
前回、交換をしなかった電解コンデンサーの液漏れを見る。
C13、C26に液漏れがあり。
【修理】
液漏れしているコンデンサーをはずして、液が付いている周辺をティッシュペーパーにアセトンを含ませて良くふき取る。アルコールでもいいと思う。
コンデンサーが付いていたスルーホールの断線が無いことを確認して、コンデンサーを新しいものに取り換える。周辺の部品・パターンに腐食が無いことも確認しておく。
予防交換を含め、以下を交換する。(→は実際に実装した部品)
C13 220uF 50V(液漏れあり)
C26 47uF 63V(液漏れあり)径8.1 高さ12→47uF 100V
C33 47uF 63V(液漏れなし)径8.1 高さ12→47uF 100V
C14,20,22,27,34 1uF 100V 径5 高さ10
C18 4.7uF 100V→4.7uF 50V
(買い忘れたので、手持品を使用。耐圧が足りないが、低電圧の回路?であろうから、たぶん大丈夫)
C12 10uF 100V 径6.5 高さ12
C25,32 330uF 50V 径10 高さ30→85℃一般品
以前にも電解コンデンサーを交換している(以下、2010/2/11)==============
R3361Aの電源ユニットを見る
http://honda.way-nifty.com/pocky/2011/02/r3361a-6e73.html
出力のコネクターの後ろに並ぶのが、各系統の電解コンデンサーである。手前から順に、
C35 470uF 25V ニチコン製PF 直径10 高さ20 →交換後 390uF 35V
C28 680uF 25V ニチコン製PF 直径10 高さ30 →交換後 390uF 35V
C42 3300uF 10V ニチコン製PF 直径13 高さ34 →交換後 4700uF 15V
C39 470uF 25V ニチコン製PF 直径10 高さ20 →交換後 470uF 35V
C38 470uF 10V ニチコン製PF 直径8 高さ15 →交換後 470uF 10V
放熱板の手前側、
C32 330uF 50V ニチコン製PF 直径10 高さ30 →取外確認、液漏れなし
C33 47uF 63V ニチコン製VT 直径8 高さ12→取外確認、液漏れなし
放熱板の奥側、
C25 330uF 50V ニチコン製PF 直径10 高さ30→取外確認、液漏れなし
C?? 47uF 63V? ニチコン製VT 直径8 高さ12
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温度で焼けて、表示が見えなくなった電力用抵抗の実測値
R39 180オーム(実測:175オーム)
R48 220オーム(実測:219オーム)
液漏れのあった、C13を交換したところ。交換したコンデンサーは千石で手に入れた、一般品。本来なら105℃品の低ESRの物を使いたいところだが、アマチュアが年に数回使う程度であれば寿命も問題ないだろう。こっち?の寿命の方が先に来るだろう。
基板の周りはよく洗浄しておくのが重要。周辺の基板や部品が漏れた液でダメージを食らうこともある。この当たりも確認しておく。
小さいコンデンサーも交換しておく。メインの電解コンデンサーは未交換だ。こいつも、そのうち液漏れるるかもしれない。
写真の上の赤矢印が液漏れを起こしていた。これも、きれいに洗浄しておく。交換した電解コンデンサーは63V品が手に入らなかったために100V品を使っている。そのため、径が大きくなり窮屈だ。どうも、この電源は標準よりの高めの耐圧の物を使っている。確か昔覚えたことだが、電解コンデンサーは耐圧に余裕をとっても故障率の向上には寄与しなかったように記憶している。そこそこの、耐圧余裕があればいいはずだが。耐圧に余裕を持っておくといいことがあるのだろうか。
また、黄色矢印のコンデンサーは、オリジナルは背が高いものを使っている。この辺りは電源用のものを使いたいところだが、手に入らない。まあ、前述の通りで問題ないだろう。
制御回路周りの小さな電解コンデンサーも交換しておく。多分、この辺りは液漏れしないと思うのだが、予防交換だ。このコンデンサーも100Vと耐圧が高い。2次側だから、こんなに要らないと思うのだが。
さて、交換・洗浄を終えて、単体で確認を行う。この電源は200V系でも使えるように、100V時は倍電圧整流を、200V時はブリッジ整流となるように入力の接続を切り替えている。100Vを入れるので、この通り端子をショートしておく。
出力側は電子負荷を接続する。この電源は多系統の出力を持っているが、メインは+5V系のようで、こいつにある程度負荷を掛けないと、他の電圧系統の出力が正常にならない。これは、スイッチング電源の特徴で出力0Aから最大負荷の変動に弱い。通常はブリーダー抵抗を咬ませたり、CPU制御系など最低負荷電流の条件でクリアしているケースがほとんどだ。余談だが、ドロッパー電源は、電圧変動に弱い。入力電圧変動を±20%でも動作する電源を作ろうと思うと、120Vでも耐えうる大きな放熱器を付けないといけない。熱が馬鹿にならず、電圧変動には苦手だ。スイッチング電源と真逆で面白い。
こんな感じで5V系に電子負荷をかけて、各系統が正常に出力するかを確認しておく。
入出力端子の備忘録だ。+3Vと記載した端子は、出力ではなく制御線ではないかと思う。フィードバックのフォトカプラにつながっているようで、過大電圧?等の出力遮断か何かだろうか、よくわからない。
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このスペアナが製造されたのが、1980年後半から1990年ごろ。ヤフオクで手に入れたのが2009年3月。RFが壊れていたものを何とか修理して使い始める。何度かRF系が壊れて修理しながら使った。
2011年2月に液漏れした電解コンデンサーを予防交換。2013年4月には液漏れによりコネクターが腐食して故障。そして、今回2017年1月、液漏れにより電源断の故障。メインの電解コンデンサー以外は全て交換したことになる。製造から30年近く立つので仕方がないが、ジャン測なのでいつ壊れても不思議ではない。電源を入れるたびドキドキして仕方がない。
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備忘録
メモリーバックアップ用の電池
ニッカド3セル 3.6V150mA GB150-3F (GS製)
端子電圧を測ると2.8V程度、かなりヘタっているが、ギリギリSRAMを保持できている模様。リチウム電池かと思ったら2次電池が使用されていた。こいつも交換しないとダメそうだ。交換時にメモリー内容が消えてしまうかなぁ、メモリーに電源を供給しながら交換しないとダメかも。
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過去の記録
「R3361Aの電源ユニットを見る」
修理記録(まとめ) ←ちょっと、わかりにくいが
「スペクトラムアナライザーR3361A修理記録」
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「測定器 R3361A」
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