JP-60組立 送信部の安定化
送信部の安定化を図ってみた。
現状での事象は、CWモードにおいて、長時間送信をしていると、キーアップした時に、異常発振する。この時の症状は、基本波の漏れレベルは変化せずに、約58MHz当たりで発振する。パラスティック発振のというよりも、単信号での異常発振であるが比較的安定して異常発振状態が継続する。この時の終段コレクター電流は200mA程度だ。
この状態に落ちいると、キーアップ/キーダウンを繰り返しても、異常状態から抜け出せない。
どうすれば、この状態になるのか、色々やってみて分かったことは、温度である。トランジスターが自分自身の発熱である温度(かなり熱い)になると、前述のモードに落ちるようだ。これは、終段かドライバーのトランジスターが怪しいが、切り分けはできていない。この辺りをドライヤーで暖めることで、事象を再現させることができた。
このことは、終段のバイアス電流値によっても発振しやすくなることと、事象が一致する。バイアス電流を比較的大きい60mAぐらいにセットすると、この事象が起こりやすい。つまり終段が発熱により温度上昇するからだ。
アンリツのパワーメータで出力を計測している様子だ。(画像の意味はあまりありません。時間とともにレベルが変化するのですが、CWでは一定なので、途中でキーアップした時の画像です。ダイナミックレンジもあまりないのでキーアップ時のレベルもあまり意味がありません。)こんなので、やってます、程度の絵です。
では、安定化のために、採った対策例を記しておく。
①L1,L2のタンクコイルをマイクロインダクターから、トロイダルコアに変更する。
このマイクロインダクターはCW連続で送信するとかなり熱くなる。トロイダルコアに変更することで、終段の効率が上がって、終段の発熱を抑えることができる。
コイルデータはT37-6に0.26mm径のポリウレタン線を22回巻く、実測で約1.8uH程度であった。
②ドライバーのゲインを下げる。
前述の①の対策を行うと、出力電力が約1.8Wまで増加する。これは、想定より出すぎだ。これをドライバーのゲインを下げて調整する。この2SC2851は170MHzで使うことができる石で高域でかなりゲインが高い。オリジナル回路でもこの辺りを気にしているのか、R84とC89で調整している様だ。C89は103が付いているので、DCに近いところではゲインが下がっているが、HF帯では結構ゲインがあるはずだ。
対策として、C89を外した。これで、出力電力は、1.2Wまで低下した。もう少し下げても良いかもしれない。この時は、R16(51オーム)を68~100オームに変更すればいいと思う(未確認)。R16は電流帰還によりゲインを下げる役割がある。51オーム時でドラーバーのアイドル電流は約20mAとなっていた。
実測データーをメモっておく。(終段の電流値)
初期時(温度が室温時):アイドル時20mA(設定値) 送信時260mAで約1.2W出力。
連続送信時(ヒートシンクの温度が上がった時):アイドル時100mA 送信時285mAで約1.1W出力。
アイドル電流で、熱暴走することはないがCW連続送信直後のアイドル電流は100mAを超えている。キーアップで急速に電流が低下する。
| 固定リンク
| コメント (2)
| トラックバック (0)
最近のコメント