移相器と遊ぶ ~製作編~
50MHz帯用の移相器を作ってみた。色々と構造を考えてみて、円もしくは球状にスイッチを配置するなど考えたがうまくいかない。結局、以前に作ったアッテネータの構造とした。このアッテネータは、秋月のトグルSWを使ったものだが、200MHzぐらいは平気で使うことができた。プリント基板上でストリップラインを形成する。
ストリップライン自体が長さを持つので移相変化が生じるが、とにかく360度変化させることができれば、目的は達せられると思いこの構造とした。
今回のこの方法では、汎用のシグナルリレーの内部構造が結構引き回しがあるようで、理想的には動作しない。そこはそこで、おまじない?で誤魔化した。決して理想の状態ではないが、とりあえず、使うことができるのではないかと思っている。
【2017.7.18追記】============================================
ケースに入れ込んだ。スイッチを外に出してリモコン状態にしてみた。最終の配線ケーブル長で移相特性を測りなおした。これで、移相と遊ぶことができそうだ。さて、どんな結果が得られるか楽しみだ。
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3D-2Vの同軸ケーブル30cm長をリレーで切り変えて、50MHzの約1波長の移相を12段階+スルーの13段階に切り替えるようにした。ここで使用しているリレーは汎用のシグナルリレー(接点容量2A)の物を使っている。
高級な同軸リレーが入手できれば理想的な特性が得られるだろうが、無線機本体よりも高価になってしまうだろう。100円のリレーでどこまでできるか、妥協の産物だが作ってみた。
同軸の処理も12本もあるので、結構手間のかかる根気のいる作業が続く。
裏面の茶色の部品が5pF500Vのディップドマイカだ。これが誤魔化しのコンデンサー。リレーの内部長をキャンセルしている。同軸をスルー側のSWRが悪化しているのでこれを入れてみた。イメージはリレーの内部長によるインダクタンスとパイ型のローパスフィルターを形成している。20pFにしてみたら、20MHz以下ぐらいの低域はかなり良くなったが50MHzでは逆に悪化した。もっと、最適値があるかもしれないが、容量値も自由には選べないのでこの値とした。
もう一つの、トリッキーな技?だ。ダイオードマトリックスを組んでみた。秋月のロタリーSW1回路12接点を使うために組んだ。切替で同軸ケーブルを使用すると20m近くの長さが必要となる。これでは大変だ。仕方が無いのでリレーで足し算式になるようにマトリックスを組んだ。約70本のダイオードを消費することとなる。もっとも、大量にあった信号用のSiダイオードを使うことができて、死蔵を免れた。
PICで組めばスマートだが、送信電力の回り込みや、マイコンノイズの受信部への混入など、懸念されることがあるので確実なダイオードマトリックスにした。力技だ。マイコン接続は、受信信号を最大化する自動制御など、夢は広がるが、静特性でうまくいってからの話だ。
これが、50.5MHzにおけるスイッチを回した時の移相変化だ(測定の生データは最後に記載している)。短縮率を考慮して12分割すると、1本あたり32cmほどだが、リレーの配線長もあるので30cmとなるようにしてみた。1本あたり26度ぐらいと想定よりも少し少ない。グラフの13は、ロータリースイッチで制御できない1個にトグルスイッチを追加する予定だ。この同軸の長さは16cmとロータリースイッチ間の値を補完する意味で追加した。ちょっと足りないが360度1波長を切り替えることができた。
移相以外の特性を示す。これは通貨ロス特性。スイッチのポジションの中で最悪値が約1dBのロスだ。ちょっと多めだが仕方がない。
これは、スルー(全リレーOFF)時のSWR特性。これは5pFで補正後の特性となっている。SWRはリレーを同軸側に切り替えた場合は1.2以下とかなりいい値を示した。
スルー状態で5pFを付加する前の特性だ。補正前の素の特性だ。
これは、13番目の同軸と他スイッチを組み合わせて、SWRの最悪ケースの時の特性。概ね1.5以下をキープしている。
部品面は全面アースだ。部品穴はショートしないように4mm径のドリルでサラっておく。写真の上下の穴ははんだ面と接続用の穴だ。銅線を入れて接続しておく。
プリント版のパターン図を置いておく。「phaser.pdf」をダウンロード
さて、これで遊んでみようと思っている。(続く、と思う)
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以下同じような退屈な絵が続く。中央の50.5MHzのところの移相がスイッチの切り替えとともに変化していく。
この写真はスルー状態だが。VNAに接続するケーブルによって移相が変化してしまっている。VNAの校正時には測定の全帯域で移相は中央(0度)になっている。
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