アンテナ F9FT

2017/07/15

移相器と遊ぶ ~製作編~

50MHz帯用の移相器を作ってみた。色々と構造を考えてみて、円もしくは球状にスイッチを配置するなど考えたがうまくいかない。結局、以前に作ったアッテネータの構造とした。このアッテネータは、秋月のトグルSWを使ったものだが、200MHzぐらいは平気で使うことができた。プリント基板上でストリップラインを形成する。
ストリップライン自体が長さを持つので移相変化が生じるが、とにかく360度変化させることができれば、目的は達せられると思いこの構造とした。
今回のこの方法では、汎用のシグナルリレーの内部構造が結構引き回しがあるようで、理想的には動作しない。そこはそこで、おまじない?で誤魔化した。決して理想の状態ではないが、とりあえず、使うことができるのではないかと思っている。

【2017.7.18追記】============================================
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ケースに入れ込んだ。スイッチを外に出してリモコン状態にしてみた。最終の配線ケーブル長で移相特性を測りなおした。これで、移相と遊ぶことができそうだ。さて、どんな結果が得られるか楽しみだ。

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3D-2Vの同軸ケーブル30cm長をリレーで切り変えて、50MHzの約1波長の移相を12段階+スルーの13段階に切り替えるようにした。ここで使用しているリレーは汎用のシグナルリレー(接点容量2A)の物を使っている。
高級な同軸リレーが入手できれば理想的な特性が得られるだろうが、無線機本体よりも高価になってしまうだろう。100円のリレーでどこまでできるか、妥協の産物だが作ってみた。

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同軸の処理も12本もあるので、結構手間のかかる根気のいる作業が続く。

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裏面の茶色の部品が5pF500Vのディップドマイカだ。これが誤魔化しのコンデンサー。リレーの内部長をキャンセルしている。同軸をスルー側のSWRが悪化しているのでこれを入れてみた。イメージはリレーの内部長によるインダクタンスとパイ型のローパスフィルターを形成している。20pFにしてみたら、20MHz以下ぐらいの低域はかなり良くなったが50MHzでは逆に悪化した。もっと、最適値があるかもしれないが、容量値も自由には選べないのでこの値とした。

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もう一つの、トリッキーな技?だ。ダイオードマトリックスを組んでみた。秋月のロタリーSW1回路12接点を使うために組んだ。切替で同軸ケーブルを使用すると20m近くの長さが必要となる。これでは大変だ。仕方が無いのでリレーで足し算式になるようにマトリックスを組んだ。約70本のダイオードを消費することとなる。もっとも、大量にあった信号用のSiダイオードを使うことができて、死蔵を免れた。

PICで組めばスマートだが、送信電力の回り込みや、マイコンノイズの受信部への混入など、懸念されることがあるので確実なダイオードマトリックスにした。力技だ。マイコン接続は、受信信号を最大化する自動制御など、夢は広がるが、静特性でうまくいってからの話だ。

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Phase
これが、50.5MHzにおけるスイッチを回した時の移相変化だ(測定の生データは最後に記載している)。短縮率を考慮して12分割すると、1本あたり32cmほどだが、リレーの配線長もあるので30cmとなるようにしてみた。1本あたり26度ぐらいと想定よりも少し少ない。グラフの13は、ロータリースイッチで制御できない1個にトグルスイッチを追加する予定だ。この同軸の長さは16cmとロータリースイッチ間の値を補完する意味で追加した。ちょっと足りないが360度1波長を切り替えることができた。

Phsw_loss
移相以外の特性を示す。これは通貨ロス特性。スイッチのポジションの中で最悪値が約1dBのロスだ。ちょっと多めだが仕方がない。

Phsw_swr_0
これは、スルー(全リレーOFF)時のSWR特性。これは5pFで補正後の特性となっている。SWRはリレーを同軸側に切り替えた場合は1.2以下とかなりいい値を示した。

Phsw_swr_non_5pf
スルー状態で5pFを付加する前の特性だ。補正前の素の特性だ。

Phsw_swr_1_1
これは、13番目の同軸と他スイッチを組み合わせて、SWRの最悪ケースの時の特性。概ね1.5以下をキープしている。

Dscf0278
プリント基板をエッチングしたところだ。(はんだ面)

Dscf0281
部品面は全面アースだ。部品穴はショートしないように4mm径のドリルでサラっておく。写真の上下の穴ははんだ面と接続用の穴だ。銅線を入れて接続しておく。

プリント版のパターン図を置いておく。「phaser.pdf」をダウンロード

さて、これで遊んでみようと思っている。(続く、と思う)

ー・・・-
以下同じような退屈な絵が続く。中央の50.5MHzのところの移相がスイッチの切り替えとともに変化していく。
Phsw_phase0
この写真はスルー状態だが。VNAに接続するケーブルによって移相が変化してしまっている。VNAの校正時には測定の全帯域で移相は中央(0度)になっている。

Phsw_phase1

Phsw_phase2

Phsw_phase3

Phsw_phase4

Phsw_phase5

Phsw_phase6

Phsw_phase7

Phsw_phase8

Phsw_phase9

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Phsw_phase11

Phsw_phase11_1
前エクセルのグラフの13番目の場合。トグルスイッチを入れて16cmの同軸を付加した場合だ。

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2017/06/24

F9FTスタックにしてみた

最近blogを更新していなかったので、生存証明的に記録しておく。梅雨に入ったが、あまり雨も降らず夏なみに日差しが強い。しかし、明日は雨だというので慌てて近所の土手に出かけてみた。

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F9FTをスタックにしてみた。以前作ったものと全く同じものをもう1つ作ってみた。10m長のアルミパイプで持ち上げている。遮るものもないので、それなりに風がある。風の向きが変わらなかったので結果的には1本のステーで十分だったがどうなるかわからないので3方向に展開した。フジインダストリーのアルミパイプは頑丈だから信頼がおける。

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結果は、アンテナは高い方がいいってこと。当たり前の結果だ。上のアンテナとスタックにした時の差は感じられないほど僅差だ。もっとも、最大でも3dBしか上がらないし、合成器のロスを考えると精々2dBぐらいのアップだ。ゲインの増加は微々たるものだが、上下に積んでいるので、上向きの放射を抑え込むことを期待しているが、今日の試運転では違いを感じることができなかった。
上のアンテナと下のアンテナをシングル同士で比較するとSにして2つぐらいの差であろうか、上の方が良い。これは即ちアンテナは高い方がいいってことだ。移動運用でも高さを稼げるとやっぱり有利ということのようだ。20mぐらい上げればと思うが、この10mのポールでも10kgはあるので、これ以上は実用的ではないと思う。

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これが、謎?の箱。VNAを使ってあらかじめ特性を測っておいた。汎用のパワーリレーなので、ちょいとVSWRが立っているが、それほど気になるほどでもないようだ。合成器としてはこんなものだろう。


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2017/04/09

F9FTを試してみる

秋葉原に寄って、ディップドマイカを仕入れてきた。30pF500Vの物をパラにしている。電流容量を稼ぐためだ。実測で62pFと出た。調整に使ったトリマが61pFを示していたから、ほぼ同じである。絶対値は測定器が怪しいので、参考程度で。また、ディップドマイカコンデンサーは比較的高価だ。ネットで調べると、マルツが意外と安い、なのでここで調達した。
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前回の絵とはスケールが違うので、ちょと違うが共振点などほぼ同じであろう。

給電部はこんな感じ。その内、寸法を入れた図面を起こす予定。メモ書きだけだと後から見るとサッパリわからない事態となる(経験済み)。
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さて、このアンテナの成果を試してみた。2階のベランダからグラスファイバーポールで約10mぐらいの地上高に設置した。(以下は先週の写真)
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最初はSSBでやっていたが、めんどくさくなってCWに切り替えた。この方がCQが楽だからである。
ここ埼玉の東部(茨城との県境)から、相模原、小田原、南佐久(JA0)、山梨笛吹市とできた。また、スキャッターだろうか奈良の局ともできた。この方のBlogをよく拝見している。
7MHzのダイポールやHFトライバンダーと比べると、いいようだ。それなりに指向性アンテナとして機能しているようだ。時間があれば、河原に行ってビームパターンを測ってみたいと思っている。


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2017/04/02

F9FTを調整する

アルミパイプの加工は完了したのだが、天気が悪かったり、寒かったりと中々調整することができずにいた。昨日は小雨がパラつくこともあったが調整を始めた。今日は最初は風もなく、まずまずの調整日和だ。世間では、1週間ほど前に開花した桜も満開になったそうだ。

2階のベランダからグラスファイバーのポールに乗せて調整する。屋根の影響も受けるようで、アンテナを回転させるとインピーダンスも変化する。
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手前が調整中のF9FTだ。こう見ると怪しげなパイプが上空を占有していて、家人が嫌がるのも無理はない。これを素敵だ、と言う方が可笑しいのだろうが、Bigアンテナには憧れる。些細な抵抗だ。

VNAを使っての測定だが、12mの同軸ケーブル込みの特性なので調整していても、どうも思い通りには特性が動かない。
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一応それらしい、特性になったがもう少し追い込めるのではないかと思っている。もう少し経験を積まなければ。。。

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ガンママッチのキャパシターを50pFに変えた特性。一番上の特性は、受信用の極小セラミックトリマで調整し、今のところの最適値は60pFのようだ。なので、ちょっと容量が足りない。手持ちの1KV100pFのセラミックコンデンサーを2個を直列にして50pFを得た。
こんなもので、どのくらいの電流容量があるかを確かめてみた。意外だが50Wぐらいならば使えそうだ。80Wでは結構発熱している。怖いので100Wでのテストは行っていない。

元々はガンママッチのロッドの中に3D2Vの心線を入れてキャパシターを作るつもりだったが、60pFまでは得られないようだったのでとりあえず手持ちのセラミックコンデンサーに変えたというわけだ。ディップドマイカにでも変えようか。


この写真は、昨日の小雨の中の情景だ。4月だというのに寒かった。
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2017/03/27

F9FTを作る ~パイプに平行の穴と直交する穴をあける方法~

当初アンテナのブームには「コの字」のアルミチャネルを使おうと思っていた。こちらの方が強度があり軽量にできると考えたからだ。しかし、実際ホームセンターで現物を見ると、確かに曲げ方向には強度があるが、ねじれ方向には弱いことがわかった。もう一つ、価格を見るとアルミパイプの2倍近い価格だ。
だったらと言うことで、結構当たり前だがブームにはアルミパイプを使うことに仕様変更した。アルミパイプを使うとなると、当初考えていたエレメントブラケットの構造も見直さないといけない。チャネル材を使えばチャネル面の平面が出ているので、エレメントを無造作に並べても、同一平面上にきれいに並ぶ。しかし、パイプだとよく考えないとエレメントを同一平面に並べて取り付けるのは至難の技だ。ここで、今回少しだけ知恵を使ったところを備忘録的に残しておく。

1)アルミパイプにエレメントを同一平面上に並べて取り付ける方法
エレメントブラケットをUボルトを使ってブームである丸パイプに取り付ければ、取り付け時に調整は必要だが、ブームを加工する必要がないので、これも一つの方法だ。ただ、今回のように軽量、コンパクトに作る場合Uボルトは大げさだ。また、移動運用時に平面だしに一々調整していたのでは組み立てに時間がかかって仕方がない。
ここはネジ1本と蝶ナットで取り付けをしたい。こうなると、各エレメントが互いに同一面となるようにブームに穴をあける必要がある。これが結構、至難の技となる。前置きが長くなったが、実際にはこのようにして同一平面を出す。

日本の大工が大昔からやっている方法だ。原理は「墨壺」を使った方法だ。ここでは裁縫用の縫い糸を使う。黒色の糸が目立つので使いやすい。
アルミパイプの一端に糸をテープで固定する。反対側に端に糸を伸ばして固定する。この時、同一面(ねじれがない)となるように、片目をつぶって(的を狙うように)目視で見る。かなりアナログ的だが、人間の感覚は優れていて、ねじれの様子がよくわかる。実際、これでも十分の精度が得られる。
この後は、糸で基準面が得られたので、必要な位置にマジックペン(細字)と罫書き針を使って印をつければ出来上がりだ。あとは、電気ドリルかボール盤を使って穴をあける。これも細心の注意を払って穴をあけないとせっかくうまく基準面が出たのに加工精度で誤差を生んでしまう。
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【ちょっと、わかりにくいがパイプの先に黒色の手縫い糸巻きがある】

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【穴の上に黒い縫い糸が見える】

2)アルミパイプにエレメントと直交するマストブラケットの穴をあける方法
この方法を思いつかなくて、アンテナ製作の最後の作業が完了せずに時間が経ってしまった。ここでも簡単な4mm径のネジと蝶ナットで固定したいのでエレメント取り付け穴に直交するネジ穴をあける必要がある。この方法を思いつかない。
ネットで調べたが、中々思い通りの方法が見つからない。色々悩んだ末に思いついたのがこれだ。
①適当な幅の紙テープをパイプにねじる様に巻きつける。1)で付けた基準線のところに、紙テープの両側に鉛筆で印をつける(罫書き針でも点を打っておくと精度が上がる)。
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②紙テープを外して、先ほど印(罫書き針の点)を着けた間に直線を引き、長さを測り4等分し印を付ける。
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③これを、もう一度アルミパイプに巻きつけて印を付けた位置を合わせると、先ほど4等分した点が、それぞれ基準線に対して直交した点と、基準面の背面になる。ここに罫書き針で印を付ける。
これで、正確なマストブラケットの穴位置を求めることができた。あとは、精度よく穴あけ加工するだけだ。実はこれも大変難しいのだが・・・・
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【黄色矢印がエレメント取り付け穴。赤矢印がブーム取り付け穴。この二つが互いに正確に直交していることが必要だ】

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2017/03/12

F9FT 50MHzをつくる

移動運用に使う50MHz用のアンテナが欲しくて以前から材料を物色していた。軽くするためにパイプの径を落としている。ブームはφ18、エレメントはφ9とφ7をつないでいる。この休はアルミ材と格闘していた。
エレメントブラケットをこれに決まるまでに頭の中で試行錯誤が続いた結果の決定版?だ。
これから給電部と詳細部の製作が続く。

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