アンテナ切替器 for FT-991
事の起こりは、ALLJAコンテスト。今回、初めてマルチバンドにエントリーした。このとき、160mのアンテナが調子悪くなり調整すると、バンド切り替えを間違えて測っていたり、コンテスト中も6mで出るときに15mのアンテナにしたり、この逆をやったりと、手動のスイッチでは限界を感じていた。思い立ったらと、Rigのバンド切り替えに連動して、切り替わるアンテナスイッチを作ることにした。
もう一つの理由は、160mのエレメントと80mのアンテナのエレメントが平行になると干渉することも経験した。効果があるかどうかわからないが、今回の切替器は同軸の外皮側も切り離すようにした。スイッチの周波数特性的には不利だとは思うが、6mまでを切り替えられれば良いのでなんとかなるだろう。今回はこんなことから、組み立てを始めた。
最終形まで考えないうちに始めるので、スッキリとはまとまらない。最後は100均のタッパーに入れることにした。
左の赤いLEDは各バンドが選択されたときに点灯する。160mから6mのWARCバンドを含む10バンド分デコードする。WARCバンドは使うことはないと思うのでおまけ。7バンドと6ポートが全部、任意に選択することができる。例えば、20,15,10mのマルチバンドをポート1に選択したい場合は、その分、ショートピンを挿せばいい。こんな使い方はないが、1つのバンドを2つのポートに割り当てることもできる。
スイッチ部と制御部の間にはシールド板を入れた。誤動作防止を期待しているが効果の程は??。
写真ではわかりにくいが、同軸の外皮側も切っている。リレーを銅テープで覆っているのはシールドというよりも信号ラインのストリップライン化を意識している。今回は同軸の芯線側が空中で配線しているが、これをプリント基板のストリップラインを形成すると特性が改善される。十文字先生のアイディアだ。1200MHzでも使えるとしているが、ロスが増えるので実用範囲は430MHzまで。これならば十分使える。150円のリレーでここまでできると嬉しい。今回のリレーでは100W程度は使用可能だ。KWととなると周波数等性の良いリレーは難しい。
バンドでコード部は大したことはないが、バンドとポートの紐づけを切り替えるショートピンの部分の配線が大変だ。マイコン式とも思ったが、このポートの紐づけUIの良いアイディアがない。これがうまくできれば配線の方は簡略化される。量産するならばこの方がいいと思う。
部品はチップ部品を多用している。細かい作業だがこの方が配線は楽だ。
これが回路図。最近は面倒くさいので手書きばっかり。以前はちゃんとCADで書いていたのだが・・・・。
コメントするならば、電波の回り込みを想定して、リレー部はフォトカプラーで分離できるようにして外部からの12Vで駆動できるようにしている。プラス側がけではなく、グランド側を分離するのが肝だ。回路のグランドはRig本体のグランドなので、ここに電流が流れると誤動作の元となる。USBインタフェースもこのあたりが弱いのでUSBドライバーがリセットしたり、PCが固まったりと悪さをする。
今回の回路では分離することもできるようにしたが、Rigの電源でも動かせることができる様にスイッチを設けて切り替え可能とした。このあたりは実践で確認する必要がある。
あとは、おまじないの470pF。トランジスターのBE間のはよく効く。これより大きくする必要もないし、大きすぎると弊害もありそう。デジトラにすればスッキリするが、この部分にコンデンサーを挿入することができないので、敢えてバラで組んだ。あとはC-MOSのゲートにも入れてある。こちらはおまじない。
ー・・・ー
特性を取ってみた。
ロスは6mで-0.12dB程度。リターンロスは-34dB程度(VSWRで1.03)。アイソレーションは-40dB程度取れているので十分の特性だ。
2mではロスが-1.3dB程度と大きくなる。リターンロスは-20dB(VSWRで1.2)ぐらいは取れているので使えないことはない。アイソレーションも-20dBぐらいはあるのだが80~90MHz付近に共振点があり、極端に劣化する。まあ、6mぐらいまでで使うのが良い。Rigの方も6mまでだから全く問題はない。
今回は別の用途で購入した、nanoVNA-H4で特性を取ってみた。画面は大きくて良い。画像のキャプチャーもPCの制御ソフトの画面で取ってみた。
1から6までの全ポートを測定したが、各ポート間の差は僅少であり、ほぼ差はない。配置を完全に対称形にしたのでこのあたりは安心できる。
ー・・・ー
さて、この切替器の次の投入はACAGか?。随分先のことだね。でも気になったときにやらないといつまでもできないので、製作して良かったと思っている。一応、これでケリが付いたw
| 固定リンク
「アマチュア無線」カテゴリの記事
- 電源ケーブル(2024.10.17)
- 初めてのPOTA(2024.02.25)
- クリッパートン島 TX5S 祭り(2024.01.29)
- 2023年アマチュア無線総括(2023.12.25)
- アンテナ切替器 for FT-991(2023.05.17)
コメント
やってますね。対称形は美しい。コンテストで良い結果でそうですね。
画像貼れない?ようなのでアドレス貼りますがこれを思い出しました。いつかやってみたいと思いつつ...
http://www.vhfdx.ru/component/option,com_zoom/Itemid,89/catid,486/hit,1/key,0/page,view/
投稿: JJ1NNJ | 2023/05/23 21:46
NNJさん、こんばんは。
綺麗に配置できたものは上手く動きますね。今回のは所詮Mコネなのでこの辺りまでかと思います。
リンクを拝見しました。1200のハイパワーアンプですね。こういうのもやってみたいネタですね。
最近、1200の八木をやっているのですが、一品物なら何とかなりそうですが、数を作ろうとすると、加工精度がもろ響いて安定しません。430とは違うとしみじみ思います。
投稿: JK1LSE | 2023/05/24 20:12