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2016/02/21

CW TRX V2 送信部の調整

平日は時間がなくて、取り掛かれない。今日は送信部の調整を行った。
単体で調整を行い、そこそこできたところで、本体に組み込んだ。

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まずは、単体で調整を行う。今回はパワーメータがあるので、-20dBのカップラー+10dBのアッテネータで測定している。これのパソコンソフトも最近更新されたようで、使い勝手がいい。ロスを校正しておき、設定することで、読み値が直読できるようになる。

Dscf0823
SGから+3dBmを入れて、入力のVR(デューティ調整)とドレインのトリマーコンデンサーでバランスを取る。これにより、第2高調波が-50dBぐらい取れるようになる。
この時、パイ型フィルターはまだ付けない。

Dscf0826
6.5MHzから7.5MHzまで、100KHzごと振ってみて特性を取ったが、ブロードで、効率に変化はない。ただし、出力値はf特を持っている。周波数が低いほど、電流を引き込みやすく、パワーがでる。パワーに着目してはいけない。あくまでここで見るのは効率だ。前述のとおり、効率はf特がなかった。

以下の写真は、ドレイン-GND間の電圧波形だ。1/10のプローブを付けているので、電圧は10倍となる。いづれの場合も、Vdd=12Vの時だ。
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フライホイールインダクターのところに並列に入っているC値の変化により、電圧値が変化する。これはC=330pF時。効率は81.3%。

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C=530pF時。効率は85.6%。この点が、最も効率がいいようだ。これ以上、Cを増やすと、効率が低下し始める。

Dscf0833
これは、パイ型フィルターを付けた時。もう少し、ピーク電圧が下がるように、Cを増した方が効率が上がるかもしれない。

Dscf0844
さらに、最終形に実装しなおした時の波形。少し、電圧が下がる。先ほどと、定数は同じだが、チップ部品に変更しているので、容量値が異なるかもしれない。

このドレインの電圧波形だが、本当のところ、これを見ていても、よくわからない。電圧が出ている時は、反対側のFETがONしている時の波形だ。電圧がない(0V)の時が、プローブを当てているFETがONしている時だ。効率に影響をあたえるのはON-OFF、OFF-ONの切替の時で、電圧と電圧の積が小さければロスが少なくなる。このクロスする点を一生懸命調整していることにほかならない。だから、電流プローブと電圧プローブで観測すれば事象がはっきりと分かるはずだ。電流プローブなんて持ち合わせがないので、こんなまどろっこしいことをしている。

ロスについてはもう一つ要素がある。FETがON(0V)時のON抵抗によるロスだ。Vddを上げて、ドレイン電流が増加すると、ON-OFF時のロスよりも、ON時の抵抗のほうが効いてくる。だから、効率はどんどん低下するグラフになる。これを改善するのは、ON抵抗の小さなFETを用いればいい。と言っても、中々適当な石がない。
ならば、ゲート電圧を高くしてやるとON抵抗が下がる。これはかなり効果的だ。今回は74HCのゲートICを使っている制約で5Vでドライブしているが、ICの最大値である6Vにするだけでもかなり良くなる。規格を無視してもっと掛ける手もあるが、保証の限りではない。ドライブ方法の改善を行う余地は十分にあると思う。最近はひとつのパッケージにPch、Nchが入ったデバイスがあるのでこれを使うとうまくドライブできるかもしれない。


Dscf0832
バラックで組んだ、パイ型フィルターを付けた時の高調波の様子だ。2次高調波は50dB以上の減衰量を得ている。第3高調波の方が大きい。ギリギリではあるが、新基準を満たしていると思う。3次以降はこのスケールではノイズ以下になっている。

Dscf0842
組み直してチップCで構成した時の波形だ。ほとんど変化がない。再現性は十分にある。

V2_trx
パイ型フィルターなしとありの場合を記載している。このパイ型フィルターはちょっと細工してある。入力と出力のC値を違う値にしてる。Vdd=12Vの時に約10Wにしたかったので、負荷インピーダンスを下げるために、FET側のCを400pF、アンテナ側を300pFにしてある。Class Eアンプの出力は、Vddと負荷インピーダンスで決定される。
パイ型フィルターのロスで出力が低下する分、負荷インピーダンスを下げて、パワーが吸い込みやすくしたのである。従って、出力のグラフはロスることなく近似している。これはロス分+αの効率の低下につながっている。

10W時には、FET、トランス、フィルター、フライホイールインダクターがそれぞれ、ホンノリと熱を持つ。それぞれ、ホンノリであるから、部品サイズ等は上手くバランスが取れていると思う。しいて言うと、FETとバランスのトランスが若干熱い。


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単体の調整が終わる。さあ、組み込みだ。気合を入れなおして・・・

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テストベンチへ組み込む。臓物へワニ口やプローブを当てて、開腹手術の様だ。

Dscf0869
何とか、送信部もできた。アンテナ切替など、諸々に手を付けようか。

【2016/2/23追記】=======================================
回路図を書いたので、掲載しておく。
V2_trx_final


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