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スペアナR3361Aの周波数安定度(解決!)

多くの方に情報をいただいた。本当に感謝、感謝!である。

以下、私が確認した手順である。(詳細、過程は端折ってありますが・・)
1.チェックポイント
 1)TCXOの切り替えSW
  背面にある、外部からの基準信号を切り替えるSWがある。外部入力にしておくと、内部のTCXOの電源が切れてしまうので、そもそも動作しなくなるので、間違うことはないかもしてないが、まずは確認である。
 2)電源電圧
 内部には+5V、+15V、-15V、そしてCRT用に+12Vがある。上カバーをはずして、IFユニット(大きなPCB)でマザーボードと接続されている3列のコネクターにシルク印刷があるので、そこで確認ができる。+12Vはここには来ていないのでチェックできない。
結果は、+5V:+5.28V、+15V:+15.15V、-15V:-14.65Vであった。
(規格値は5.2V±3%、他は±5%)
-15Vがちょっと低いが、規格内ではある。いただいた情報ではSW電源の-15VのSW電源の出力ケミコンの不良で周波数安定が悪くなるケースがあるらしい。
 3)10MHzの基準信号出力
   TCXO(10MHz)から、PLLの基板に接続されている点に「P9」というチェックポイントがある。その振幅が0-Pで3Vp-p以上あればよい。実測で3.7Vp-p。
 4)200MHzPLLの動作
   このスペアナの基本のPLLである。他にもYIGのGHz帯のPLLなどあるが、この、200MHzのPLLが全ての基準になっている。TCXO(10MHz)と水晶(VCXO)の200MHzで発振した信号を1/20して、位相比較している。
「TP1」10MHz側、「TP2」200MHzの1/20側で位相比較器の入力になる。
位相比較回路は、74S112の2個のFFと74S00の1個のNANDゲートで出来ている。(U5、U7)。
この位相差をチャージポンプ(Q21~Q24)で約±13V変化させることができる。直流出力は「TP3」で、正常値は-3V±1Vである。

今回は、ここがおかしかった。(中央が0Vである。1目盛りは5V/div)
Dscf0308

+13Vの上限に張り付き、バタバタしている。プラスの電源をVCXOのバリキャップに供給しても所定の周波数(200.000MHz)にならないため、結果として周波数がふらついていた。

これが、VCXOの周辺だ。これがこのスペアナの心臓部になる。全てのOSCはこの200MHzが基準になっている。
Dscf0314

水晶振動子とC22(6pFのトリマー)、L13、D2(バリキャップ1SV111)で回路を構成している。トランジスタ類は反対側にある(らしい、見るためには相当分解しないと基板裏面を見ることはできない)。
このトリマーがずれていた。シールドケースを開けるとPLLロックがかかっていなかったので、周波数が飛んでしまう。ロックがかかっていればこんなことはない。トリマーを回して「TP3」の電圧を-3V±1Vに調整する。
かなりクリティカルである。-4Vになったのでそれ以上追い込まなかった。収斂するまで数分はロックが外れないことを確認する必要がある。かなり大きくドリフトする。電圧の上限下限付近までスイングする。

ロックが外れている場合。(今回の故障?不具合)
Dscf0311

CF=0MHz、Fスパン=10KHz


ロックした場合。(トリマー調整後)
Dscf0312


VCXOの下側が200MHzの位相比較器になる。TP3に緑色の線を付けてケースを閉めた状態でトリマーを調整した。
Dscf0315

調整ドライバーは竹串を削った。シールドケースの上に乗っている。
Dscf0316

周波数安定度を測ってみた。
まずは、単発のスイープ。
Dscf0318


次にMaxHoldをかけてしばらく置いてみた。周波数のふらつきから、毎回違うところに輝線が出来て、その結果、帯状になる。このときのブレ幅は約200Hz。規格では300Hz以内であるからまずまずこんなものである。
Dscf0317

とりあえず、治った。結果はトリマーがホンのわずか、ずれていた。20年選手の測定器だから致し方ない、そんなものだろう。調整してどこまで性能が戻るか、である。
私にとっては十分すぎる測定器ではあるが、信頼性を求めるならば、この機械はやっぱり「ジャン測」である。

多くの皆さん、本当に多くの情報提供をいただき、ありがとうございました!


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測定器 R3361A」カテゴリの記事

コメント

祝スペアナ復活。
僕ならあきらめてしまうところです。トラぶったときに
この記事参考にさせていただきます。貴重な情報ですね。

投稿: ヨシザワ | 2010/05/23 21:33

ヨシザワさん
こんにちは。

みなさんに情報をいただいて、とりあえず修理ができましたた。スペアナを修理するのにもう一台ちゃんとしたスペアナがないと中々修理も出来ないようです。今回はオシロのみで何とかなりましたが、複雑な内容だとそうもいかなそうです。DBMとSGを用意して簡単な受信機を作ってシューティングしようとも思っていたので、今回はラッキーでした。
この壊れたスペアナで自分の臓物?を確認しようかとも思っていました。(同じようにドリフトするので正常に見えるかも・・)
製造メーカから情報開示があると助かるのですが。この点HP(アジレント)など、アメリカは進んでいますよね。

投稿: pocky | 2010/05/24 12:51

はじめまして北原と申します。
先日R3361Dのジャンクみたいなものを仕入れてきましたがTGがdc側がレベル低く20dB位上は10dB前後です NETで調べていたらこちらにたどり着き昨日もSG入れてましてスパン10Kにすると同じ様な症状でしたので今日あけてPLLのトリマーを調整しおかげさまで解決しましたしかし古いので管面も暗くやけもあります
スペアナ入力も10dB前後レベルが低いです。
ダイオードが悪いでしょうか
前の人も手を入れてあるようでフィルターの所も段がありますがさらにアーチ状のフィルターが後からと思えるように付いています(グラグラします)
修理に出すべきか(高いけど)迷っています。
今後さらにネットなどで調べて見たいと思います。
技術は無いのですが ジャン測が増えて回りの目も気になります。
一箇所は解決し参考にはなり感謝してます。

投稿: キタハラ | 2010/06/19 09:16

北原さん
はじめまして。参考にしていただき公開した甲斐がありました。
このスペアナも年数が経っているために、至るところ調整がずれているようです。そのひとつがここで紹介したPLLです。私のスペアナもALL CALを実行するものの、画面上ずれている(表現しづらいですがキャリブレ時、山がづれている)のが多々あります。
一応、正常に終了するのですが。
完全に修理するにはもう一台スペアナが必要です。ちゃんとしたスペアナを持っているくらいなら修理しない!ということになってしまいます(笑)
入力側のMixダイオードが不良の場合(2個入りDiの2個とも断)は、感度が50dB以上低下します。感度がないのに等しいくらいゲインが下がります。
ご覧になったかも知れませんが、ここに公開しています。
http://honda.way-nifty.com/pocky/2010/04/r3361a-7f96.html

後はセラミック基板間の半田クラックです。多くの方が経験しているようです。

CRTの焼けはありますが、これも皆さんあるようですが、測定には支障はありません。

何か参考になることがあれば、お知らせします。ご連絡ください。

投稿: pocky | 2010/06/20 13:56

Hi, my r3261a has stability problems, the signal power of 30 MHz ref is displayed at about 27, xxx MHz after 30 minutes it stabilizes at 30 MHz, can be the same problem of the PLL? Thank you. Tom
togange@alice.it

投稿: Thomas | 2012/02/15 01:59

Tomさん

私のブログをご覧いただき、ありがとうございます。

あなたが所有しているR3361には、3個のPLLがあります。
1st PLL=4 to 7.6GHz
2nd PLL=3.84MHz
3rd PLL=200MHz

2nd PLLと3rd PLLは 基準のTCXO(10MHz)から、生成されています。

あなたが遭遇している故障は、多分3rd PLLがロックしていないために、発生している可能性があります。

基準信号の30MHzは、TCXOを3倍して、生成されています。

私が遭遇した故障は、3rd PLLです。

私には、詳しいことは、分かりませんが、あなたが上手く、修理できることを祈っています。

Pocky/JK1LSE

投稿: pocky | 2012/02/15 23:48

pockyさん
この記事を読んで同じR3361Aをオクションで入手しました。これで自分でメインテナンス出来ると思うと嬉しいです。入手したモノは現在順調に動作していますが引き続き参考にさせていただきます。

投稿: Masa | 2012/12/11 23:21

Masaさん
ブログをご覧いただき、ありがとうございます。
私もスペアナを手に入れてから、情報を入手しようとしましたが、webを含めて意外と少ないことに気がつきました。
個々のみなさんは、それぞれ解決されているのでしょうが情報が分散しているのでしょう。
自分の備忘録を兼ねて記録を公開したいと思います。情報を集めると、トラブルも集約してくるのではないかと考えています。
何か、情報があればここに書き込んでいただければ幸いです。

投稿: pocky | 2012/12/12 12:40

Pockyさん
昨年の12月11日にコメントを書かせていただきましたMasaです。
約1年間ほど順調に動作してきた我R3361AもTG出力が1Ghz付近で約-30dB減衰してしまいました。
現在、原因を究明するべくTG部の両面にあるアルミ金メッキ部を再半田を行いましたが、残念ながら変化なしです。
症状から何かアドバイスがあればお願いします。電源部も今週中にチェックする予定です。
写真を送付させていただきたいのですが、どのようにすればよろしいでしょうか?

Masa

投稿: Masa | 2013/10/31 15:04

Masaさん
こんばんわ。このページ左上の「メールを送信」からご連絡ください。私にわかる範囲で対応いたしますので。

投稿: pocky | 2013/10/31 20:10

今晩はPokyeさん、昨年お世話になったPWT好本です。
10ヶ月ほど順調に働いていたスペアナのCRTのメダカノイズ再発しました。
今回は幸いにも原因特定でき対処できましたので、参考迄に連絡致します。
今回は現象が3パターン
①CRT真っ黒で何も表示されず。NTSCに出力なし。
②メダカノイズ状態(SweepのLED表示から見みて動作している模様)。NTSCに出力あるが安定せず
③水平が一部2重、或いは上下逆に分割表示。NTSC出力あり、安定。
①②③の状態が12Vの電圧変化に伴い変化、11.1V程度で③になり、11.0V以下及び11.6V以上で①となる
アナログ出力部より同期信号を遡るが原因特定できず諦めかけてにいたところ、幸いにも英文のメンテナンスマニュアルをWebサイトより入手でき解決しました。
原因箇所はRF部にて200MhzをPLLにて生成していVCXO部。C22:6PFのトリマコンデンサが不良となり、PLLロック外れ/発振停止を起こしていた。
(トリマをセラミックの調整棒でコツコツつつくと正常表示/真っ黒と変化する)
トリマは接着剤で固定され調整不能のため手持ちの表面実装用トリマと交換し復旧、電源On/offの繰り返し、連続稼働等のテストするが安定動作。
このトラブルはこれで完治したと思います。
同期信号はCPUボードの16.XXXMHZの水晶から生成と思いこんでおり、誤った対処をしていたが、幸いに英文でもマニュアルを入手でき何とか解決できました。
しかし、後になってよく考えれば、横軸はもろに周波数ですから基準の10MHZから生成してるはずですよね・・・
実際には、10MHZ→200MHZのPLL→1/10分周→20Mhz→CPUボードにて水平・垂直含む同期信号生成、となっているようです。
思いこみと先入観で事に当たるとろくな事にならない、反省!!です。
回路図上は12V系とPLL部分は関連無く、12Vの電圧変化での①②③の現象が変化は気持ち悪いのですが、まあ対処完了したので良しとしています
(入手したマニュアルは94年6月のもので、私の実機(90年製)とはかなり異なる部分が有りますので不確実ですが。)
なお、この20MHZはJ1コネクタのA16で確認出来、sin波です。
あくまでも私の推測ですが、③の状態は、動作不良時に非常に歪んだ波形が観測されたことからみて、20MHZの1.5倍とか2/3倍でCPUが同期信号を生成していたのでは??。

それにしても、この周波数ふらつきの犯人と同じ場所とは・・・・。

投稿: 好本 敏文 | 2015/07/08 20:59

好本さん
こんばんは。ご無沙汰しております。
CRTのメダカノイズの事例紹介、ありがとうございます。
10MHzのクロックズレが原因だったのですね。以外ですね、中々たどり着きそうにない原因ですね。
事例を紹介していただき思い出しましたが、私もこのトリマーコンデンサーを調整していて、CRTの画像が飛んでしまい(同期ずれ)、壊してしまったかと肝を冷やした事がありました。
私もこのトリマーコンデンサーを交換しています。やはり、故障には共通不良が多いですね。良くも悪くも世の中の機械はこんな物でしょう。
貴重な情報提供、ありがとうございました。

トリマーコンデンサー部の記事:
http://honda.way-nifty.com/pocky/2010/05/r3361a-f58e.html

投稿: pocky/JK1LSE | 2015/07/08 22:02

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